総合建設業、鋼構造物工事業 - 新潟県上越市

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仕事を続けてこられた源泉

 30年前の話をしよう。私は26歳。社会人3年目。作業着を着て現場監督まがいの仕事をしていた。毎日1tトラック(今はないがハイラックスのトラックがあった)に乗って上越地域は元より、県境を越えて長野県までほぼ毎日行っていた。
 抱える現場は常に大小10を超えていた。業者回しで精一杯、プラス営業活動の毎日だった。朝早くから夜遅くまで、お客さんの帰宅を待って伺うと、帰宅は午前様なんていう時もあった。
 時に、家を建て替えたいという話が舞い込む。
先ずは挨拶に行く。話をしているうちにだんだんと打ち解けてきて私を受け入れてくれる。具体的な『家』の話へと進む。『夢』(構想)を聴く。それをメモしながら簡単な間取り図を描く。あーだ、こーだと話をしながら、「では次回伺う時に整理した図面をお持ちしますね」と次回の約束を取り付ける。
 2回目。さながら「家族」の一員にでもなったかのように打ち解けて話を進める。『夢』の修正、追加等の話を聴きながら、「次回は修正した図面と見積書をお持ちします」と伝える。
 そして、3回目の訪問。見積書を見せながら内容の説明をする。打合せした内容より、「システムキッチンは1ランク上の仕様にしました。」と言えば喜んでくれる。最後に「仕事をさせて頂くだけでありがたいです。儲けはいりません」と大幅な出精値引きをする。お客さんは、そんなにサービスしてくれるのか!!と言って更に喜んでくれる。
 私は、おもむろに契約書を取り出す。お客さんにとって、予定にはなかった流れだ。
 「一つ、ここで決め酒ということでサインして頂けませんか?」盛り上がった雰囲気の中で大抵サインしてくれた。人間味あふれた営業だった。
 工事が始まれば、2日と空けず現場へ行く。居間に上がり込んで漬物をつまみながら、お茶を飲みながら、世間話に花を咲かせる。昼近くになると「飯食っていけ。」と言ってくれる方もいた。「ありがとうございます」遠慮なく答える。最初に出てきたのは、よく冷えたビール。親父さんと真っ昼間から酔っぱらって昼寝して1日が終わるなんてこともあった。実に大らかで楽しかった。多少のことは許される度量がまだこの国にはあった。
 住宅は工期3ヶ月。引き渡しの時期はあっという間だ。初めて自分が引き渡しに立ち会った時の感動は今も忘れない。「いい家を作ってくれてありがとう。」お客さんの嬉しそうな笑顔が私の胸を熱くする。
 お客さんが喜んでくれた。またお客さんの喜ぶ顔が見たい。そう思える私がいた。それが今日まで私がこの仕事を続けてこられている源泉だ。
 大切なことを4つ掲げる。お客さんの喜ぶ顔を見続けるために。
 1.仕事にやりがいを見出す。2. 自分の仕事に誇りを持つ。3. 自分に自信を持つ。4.さらに自己研鑽に励む。
 当社には、過半数を占める10代20代。30代まで含めると75%の若者がいる。君たちとは、仕事の話をするし、プライベートの話もする。いろいろな話をする。
 私が君たちを心配すること。それは、1.子供の頃から褒めてもらった経験がない子のなんて多いことか。2.何をしたいのか、子供の時から、今に至るまで、分からないまま漫然と過ごしてきたものが少なからずいる。3.だから、「自信がない」という言葉が口から出てきてしまう。
 「すごいね。こんなことができるようになったの。大したものだね。」と私はいつも君たちを褒めて回っているよね。職務手当を支給している者もいるよね。研修に参加させている者もいるよね。それは、君たちは、成長して仕事ができるようになったから。人としても成長して来たから。将来を託したいから。私が君たちを認めているから。評価しているから。なのに君たちは、自信が持てないと言う。
 私の言葉を以って、また、私と君たちが出会って、今日まで共に過ごした時間を顧みて、もっと自分を素直に評価すべきだ。自分に対して自分の成長を、実力を認めてあげるべきだ。そうでないと君たちは、余りにも寂しい。
 私は、これから君たちを経験したことのない世界へ連れて行ってあげると言っているではないか。もっともっと高みを目指す、大化けするであろうサトウ産業に於いて大きく羽ばたいて欲しい。私の切なる願いである。

投稿日|2020.08.18 社長ブログ