あきらめない気持ち
9月13日(日曜日)10時過ぎ。車に乗りながら流れてくるFM新潟に耳を傾けている。Melodious Library(メロディアス・ライブラリー)という番組だ。毎週この時間、一人で車に乗りながら聴いていることが多い。
取り上げた小説の、あらすじを語り、解説を織り交ぜながら、時折、今日のテーマに沿った音楽を流すという番組だ。結構聴き入ってしまう。
今日の作品は『短編小説集 ぼくは勉強ができない』。そのうちの一編。《ぼく》と《いとうともこさん》と《先生》のやり取り。
ある日、学級委員を選ぶことになった。《ぼく》は《いとうともこさん》を推薦した。先生は、そのことに怒り心頭だった。
「ふざけているのか!だれだ!」推薦した犯人をどうしても捜し出したいらしい。「どういうつもりだ!」
言えば言うほど《いとうともこさん》の心を傷つけることになるのに。それに気が付かない《先生》。
そう、《いとうともこさん》は勉強ができない。だから、学級委員なんかできるはずがない。そう決めつけて掛かっている。
でも《ぼく》はそう思わなかったから、出来ると思ったから推薦した。
11歳の《ぼく》は勇気を出した。言わなければ男がすたると思った。「どうしていとうともこさんではだめなんですか?」
《先生》はひるんだ。そして、何も言い返せなかった。その理由は、番組中では述べられていない。
社内を見渡してみよう。
当社はバラエティに富んだ個性派集団だ。得意科目、不得意科目それぞれある。得意な科目は今以上に「伸びる」ように、不得意科目は少しでも「人並み」に近づくように導く。どちらかと言えば、前者を優先して育てるように心掛けている。
「ぼくにはどうせできっこない、ムリだ、自信がない」とやる前からあきらめてしまう君がいる。
「あの人はできない、ムリだ、教えてもしょうがない」と教えもせずに決めつけてしまう君がいる。何れもマイナス思考の塊だ。建設的ではない。
私は知っている。「どうせオレなんか何をやってもダメなんだ」と言っていた彼が今では、みんなのリーダとして引っ張っている姿を。
私は知っている。「ダメだ。使い物になりません」とみんながみんな、さじを投げた彼が、今、少しずつ、前を向いて歩き始めていることを。
いつも私は、言うではないか。「人を育てるには時間が掛かる。それなりに授業料も必要だ。あきらめてはいけない。そうでないと人は育たない。」
そのことを連想させた『ぼくは勉強ができない』だった。
投稿日|2020.09.16 社長ブログ