冬がもうすぐそこまで来ています
早いものです。10月も半ばに差し掛かろうとしています。そろそろ北から冬の到来を告げる白鳥たちがやってくる頃です。
社長室の窓外に広がる田園風景に落穂を食らう白鳥の一群。大きな鳴き声、どこからともなくやってくる彼ら、どこへともなく去っていく彼ら。そんな光景をもう何十年見てきたことでしょう。
同じように1年が過ぎ、また同じように1年が来る。そんな年月を人は繰り返し生きています。しかし、1年ごとにその中身は全く違うものであるにも拘らずにです。
以前みなさんに話をしたことがあります。何度もです。こうして何事もなかったかのように1日1日を送れることは、なんてすばらしいことなのかを。
『普通』に生きる。この『普通』とはどんなものなのでしょう。
『普通』に生きることが実は『普通』ではないということです。『普通』に生きるためにどれだけの人が『普通』ではない努力をしているのでしょう。皆さん1人1人の『普通』の生活を守るために。
でも、そのような事実は知らない方が良いのかもしれません。知らない方が幸せなこともありますから。
先日、私より20歳近く若い社長と話しをする機会がありました。
「この2年間、商売、本当にきつかったです。だからこそ、生き残っていくために、業界の中で破格の給与体系にしました。休みも増やしました。私の役員報酬は、彼らと変わりません。社長1人で営業をして、見積もりをして、現場管理をして、経理も、雑用も、みんなしていました。それが社長の仕事だと思っているからそんなに苦ではありませんでした。でも、世の中、仕事が無くなってきて、厳しくなってきて、社員たちには、少し協力してもらえないかと聞いたら、『嫌です』と言われました。何も分かっていないですよね。」と。彼の愚痴にもならない社長だからこそ抱える悩みに2時間付き合いました。
私は、こう応えました。
「私も、58歳と半年くらいまでは、社員ができないことは、私がやればいいと思ってきたし、実際やってきました。でもね、出来ない自分に気が付いたのです。出来ないというより、そこまで頑張れない自分の存在に気が付いてしまったのです。その時思いました。しっかりと次の世代を育てておけばよかったなと。自分が何でもかんでもやってきてしまったことは、社長として最大の失敗だったなと。自分も同じように年老いていくことなど想像していませんでした。次に引き継ぐ人を育てていかないとね。自分の代で店を閉じるのなら、一番いい時に閉めるべきですね。でも、人生のピークにいる時に、そのようなことを考える人はいませんけどね。それと、相手に対して、過度な期待はしない方が良いですよ。社員のみなさんは、社長がどれだけ社員1人1人のことを心配してかなど、全く興味がないですから。『こんなにみんなのことを心配しているの』にとか、『なんで分かってくれないのだ』などと憤慨しても仕方がないです。そういうものです。社長は孤独だと昔から言うではないですか。それとね、過大な期待感を持っていると、その期待に応えられなかった社員に対して社長が抱く喪失感は、何倍にも増幅されてしまいますよ。過度な期待はしない方が良い。出来る範囲でやってくれればいい。でも、少しは、努力して成長して欲しいですけれどね。私は、漸く1年ほど前から、そう思うことから卒業できました。良い意味での『諦め』ができました。そうしたら、少しは、自分の頭で考えて行動できる社員が出てきたかな?という感じですね。毎日365日、めまいがするほどのでかい声を大ことは無くなりましたね。本当は、穏やかに生活したかったので、良かったですね…。」
私は、最近、今まで言わなかったことを話すことがあります。こんな話をしました。
「60年余の人生を振り返って、良い時期はどれだけあったかな?社会人になってからはどうだろう? 38年中、良い時期は、30%くらいかな?いつも、『どうすればいいのか』、『どうしよう』と、悩んでばかりいたな」と。
またこんな話もしました。
「間違いなくみんな頑張っているのです。持って生まれたものに違いがあることも認めます。先日、君たちと同様に、悩んで、泣きながら話しをしに来た社員がいます。『私は、なんでこれしかできないのだろう、何でいつも同じ間違いばかりしてしまうのだろう、あの人たちは、とても優秀です。私は同じようにできません。自信がありません』と。その社員は、私から見るととても前向きに一所懸命に業務に取り組んでくれています。何も申し分がありません。多分、誰かと分かれば多くのみなさんもそう思うに違いありません。そんな人でも、上を、上を目指していこうとすると、このような状況に見舞われるのです。
私もいつもみなさんに言いますよね。「社長の私は能力が無い」と。人のせいにしても何も解決しません。自分の責任として捉え、自分が率先して解決していく気持ちを持ち続けます。
立っているステージは人それぞれ違います。しかし、今の自分をより高めていこうとする気概を持つことが今、みなさんには絶対に必要なことだと信じます。
分かり易い言葉で言うと、『負けたくない』という言葉に置き換えられます。人に負けたくないというより、『負けても良いです。あの人は優秀だから、負けても仕方がありません』とつい思ってしまう自分に負けないことです。いつもの如く、社長の話は難しいですが、これを今月のメッセージとさせてもらいます。
冬が もう すぐそこまで来ています
投稿日|2026.10.15 社長ブログ