総合建設業、鋼構造物工事業 - 新潟県上越市

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青春時代の一コマ

 21才の夏。私は250ccのバイクに乗って旅に出た。民宿と野宿を交互に繰り返しながらの当てのない旅。ただバイクに乗って、遠くへ行ってみたかった。行き交うバイク乗り達と、左手の指を2本、こめかみにあて敬礼風の挨拶を交わす。『カッコいいな』と、そんな自分に酔いしれる。
 炎天下の福井辺り。暑くて頭がぼーっとしていた。半分寝ながら走っていた。突如、車が幅寄せしてくる。『危ない!ぶつかる』そして、転ぶ。自慢のフルカウルが傷つき歪んだ。追いかけて蹴っ飛ばしてやろうかと思いきや、追いつけないところまで行ってしまっていた。ただただ悔しかった。
 博多駅の前には一人旅をしている連中でいっぱいだ。初めて会ったばかりだけれど、バイクという共通項により、長年の友のように語らう。熱いアスファルトの上で寝袋に入って寝ようとした。そこへ警察官。『こんなところで寝ていると、酔っ払いが来てコンクリートブロック、頭に落とされるよ』『物騒なことを言うな』と思った。だけど、眠気に勝てず、そのまま眠りについた。何事もなくあくる日、目が覚めたことに感謝した。
 長崎県から熊本県へ、島伝いに渡ろうとしていた雲仙の船着き場。理由は良く分からないが、おじさんが私に怒っているようだ。同じ日本人?見事と言う他ない。何をしゃべっているのか全く理解できなかった。今でも分からないままだ。日本は広いと思った。
 西鹿児島駅前の焼き鳥屋。初めて『芋焼酎』を飲んだ。強烈に『臭い!』これが九州の酒だ。『酒』は『日本酒』と言う固定観念は崩れた。所違えば全て違う。余談だが女将さんの肌は白かった。南国なのに。私にとってはとっても意外。朝、目覚めるとバイクは真っ白。『どうしたんだ?』そう、目の前の桜島の灰が降り積もったのだ。私の顔も、髪の毛もザラザラ。きっと大量の『灰』を『肺』に吸い込んでしまったはずだ。『いやー、身体に悪いわ』
 また博多駅に戻った時、『さぁーどこで寝ようかな?』と周りを見渡していると、25,6才くらいの見知らぬ男性が声を掛けてきた。『家に泊って行かないか?』『いきなりかい!?』びっくりと共に何かある?警戒心を解かずに、隣にいたもう一人を伴いアパートへ向かった。ビールを飲ましてもらった。久し振りの風呂にも入れた。何事もない一夜だった。いったい何だったんだろう?良い人っているんだな。人情ってまだまだ捨てたもんじゃないな。
 出雲大社の前にいたら、今度は60才を超えたくらいのおじさんから声を掛けられた。『泊って行かないか?』完全に日本人みんな良い人モードの私は警戒心0。ひょいひょいとついて行った。手漕ぎボートに乗せられてしじみ採りをした。見たことのない大きさだ。10センチはあろうか?でも身は普通の大きさだった。スナックへも連れて行ってくれた。酒をたらふく飲んだ。意識を失う程、飲んだ。酔った。寝た…。そのつもりだった。寝れなかった。一睡もできない夜だった。日の出と共にお礼を言うとそそくさとお宅を後にした。おじさん、きっと寂しかったのだろうな。
 34年前、凡そ2週間掛けて上越から九州を一周した時の一コマである。若い時にしか経験できないものがある。若いからこそ感じられるものがある。20代は一番感性が豊かな年代だと思う。もっともっと『青春』したらいい。一生懸命頑張って仕事してもらうのはとても嬉しいけれど、それだけじゃ、もったいないよ。

投稿日|2019.05.15 社長ブログ