日本の力
2月15日お昼のNHKニュース。アナウンサーが悲しそうな顔をしてこう言っていた。「GDPでドイツに抜かれた、第4位になった」と。世界の国は、200ヵ国超あるのだから、まだまだ有数の経済大国には違いない。でも、今や、2010年に日本を抜いて2位に躍り出た中国。遠く離されて、背中も見えない。
日本は、1968年、当時の西ドイツを抜き2位となった。当時の日本は、「もう戦後ではない」、「所得倍増計画」を唱えた池田勇人首相から約10年後。東京オリンピックの4年後。高度経済成長の終わりを迎え、「1億総中流社会」というみんなが「幸せ」を享受し始めた頃という認識でいる。
私は4歳。父親が勤めていた会社の6畳一間の社宅から新居に移った頃。まだ家には、カラーテレビは無かった。トイレは汲み取り。もちろんエアコンも無い。当時を思うと、私の幼少期ですら「貧しかったな」と思う。
日本は、1980年代後半から1990年初頭で経済の頂点を極めた。アメリカの象徴である、エンパイヤステートビルを日本企業が買ったのは、衝撃的であった。世界のトップ10は、全て日本企業が占めた。今のみずほ銀行は、世界一の銀行だった。Japan As No,1。日本人は、永遠にこの栄華が続くと信じた。疑う者はいなかった。
しかし、「バブル崩壊」。その後の「失われた35年」。この間、日本人は、変化を恐れたのか、自信を失ったのか、何も変わらないまま時が過ぎた。
35年は、1世代を超える時間である。世界第2位の経済大国だった日本は、25年後中国に抜かれ、35年後ドイツに抜き返された。
私にしてみれば、「いまさら」である。政治のせいという人がいる。経営者のせいという人がいる。人のせいにして、気が済む人はそれでいい。しかし、それでは何も解決しないし、しなかった。
先日届いた業界紙。改めて2023年度の建築鉄骨使用量は、400万トンを割ったと出ていた。57年ぶり、1967年以来とのことである。同じ量でも、右肩上がりで伸びている時の400万トンと、落ちぶれて転げ落ちていく中での400万トンは違う。これは即ち、建物が建たないことを意味している。設備投資をしないことを意味している。経済力が今後益々低下していくことを意味している。
生産人口も、2050年には半分になる。「一体どうするの!」。私たちの世代は、滑り込みセーブで逃げ切れるかもしれない。それでは今の20代、30代、40代の若い人たちはどうなるの?「もっと真剣に将来を考えろ、勉強しろ、実力を付けろ」といつも言う。しかし、伝わらない。「今がよければいい」と平気で言われてしまう。これも「失われた35年」の影響か。
2050年、26年後、私は、生きていれば86歳。未来が心配だ。多分私だけではないだろう。事業承継も含めて、休めない、もうひと踏ん張りせざるを得ないと思っている経営者の方は多いのではないだろうか。
全く以て、私が私のゴールに辿り着くのはいつの日か。
投稿日|2024.02.17 社長ブログ