総合建設業、鋼構造物工事業 - 新潟県上越市

NEWSお知らせ・ブログ

サトウ産業という名の船に乗って

『月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人なり。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらへて老をむかふる者は、日々旅にして旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり…』
 【月日は永遠にとどまることのない旅人であって、やってきては過ぎ去る年もまた旅人である。〔船頭として〕舟の上で一生を過ごす者や、〔馬子として〕馬のくつわを取って老年を迎える者は、毎日が旅であって、旅を住まいとしている。昔の人も旅の途中で亡くなった人は多い…】
 松尾芭蕉、『奥の細道』の序文である。永遠に流れる『時間』を『旅』するものは人間であり、『死ぬ』瞬間まで旅を続ける。
 『時間』は留まることなく、悠久の時を刻み続ける。自分の好きなことをやれて、生涯を閉じる人は『0』ではないだろう。
 しかし、限りなく『0』に近いに違いない。はたまた、それはそれで幸せなのだろうか?という疑問を抱く。逆に、生涯通じて『後悔先に立たず』と後悔だらけの人生も寂しい。
 以前、社内報でこんなことを書いた。「後悔ばかりと言うと、今までの自分のやってきたことを全否定することになる。だから、『後悔』ではなく、『反省』ばかりだ」と。
 このことは、訂正する。やはり、『後悔』である。ただその『後悔』は後に引きずるものではなく、次の機会で成功するためのホップ、ステップでありたい。
 今日までの旅で、『楽』に生きられるかもしれない選択の機会があった。その都度迷い、結果的には、その道を選ぶことはしなかった。
 『楽』に生きるとはどんなことなのか?物理的な欲求が満たされることが、本当の『楽』な人生なのか、精神的に幸せなのか?その答えが見つからなかったことと、それと引き換えに失うものの大きさには、代えがたいものがあったからだ。
 それは、自分のためにのみ生きるのか、自分の夢を追いかけながらも、人のために生きるのかの選択であった。
 私は、10年前、みなさんへ15年後までの人生計画を提示した。あれから、10年。思い描いていたものとは、違う。計画を超えたものもあれば、達成できていないものもある。予定外のものもある。ただ一番の予想だにしなかったことは、1年1年肉体的にも、精神的にも『しんどく』なっていること。それは、自分の想像を超えた、速い時間の流れに身を投じてきたことに他ならないだろう。決して生き急いでいるわけではない。『失った時間を取り戻したい』。そんな気持ちで走ってきた。
 先日、40歳を間近にした社員さんと話しをしていて出た言葉。「60歳までの20年、よろしくおねがいします。」それを聞いて胸が熱くなった。
 みなさんとは、サトウ産業という『船』に共に乗り、共に旅をしてきた。今も旅を続けている。途中で船を降りる人、新たに乗ってくる人、いつの間にか、乗組員はずいぶんと増えた。
 乗組員の顔ぶれは変わっても、日々留まることなく航海を続けている。乗組員であるみなさんがいる限り、船を降りるわけにはいかない。これからも現在進行形で乗り続ける。
 だからいつか訪れる、船を降りる日は、間違いなく『後悔』して降りることだろう。それも絶対に次に生かす機会のない『後悔』と一緒に。それは、10年経った計画修正の『今』の答えである。

投稿日|2022.05.17 社長ブログ