２１歳の夏、２５０ｃｃのバイクに乗り、上越から九州一周の一人旅に出かけました。初日は福井県鯖江市の友人のお宅に泊めてもらいました。以降は、野宿と民宿に泊まるのを交互に繰り返しながらの３週間の旅でした。
　旅に出ようと思った時、本屋へ行って全国地図を買いました。当時はインターネットはありません。ナビはありません。パソコン、スマホすらなかった時代ですから。「どの道を通って行こうかな？着いたら何を食べようかな？何を見ようかな？」と思いを巡らせながら地図を見たものです。
　『地図を見た』と言いましたが、正確には『地図を読んだ』のです。それを何度も何度も。この道を通って〇〇へ行く。途中には●○があって、◎〇がおいしい。何度も何度も読んでいるうちに頭の中には既にそこに行って名所を見て、名物を食べている自分がいるのです。道を歩いている姿、食べている様子が現実のものとして頭の中に存在しているのです。ですから実際に出かけてそこへ行って見て食べることは、スムーズに行われます。既に１回仮想現実の世界で経験しているからなのです。
　私は何かを始める時はいつもこのような思考パターンで始めます。
　今般、皆さんの協力、努力が実り、２０２１年９月１０日、東京証券取引所ＴＯＫＹＯ　ＰＲＯ　Ｍａｒｋｅｔに上場申請することが出来ました。
　顧みれば２０１９年８月末に新潟県初のＴＯＫＹＯ　ＰＲＯ　Ｍａｒｋｅｔ上場企業の話を知り、興味を持ちました。上場は経営者にとっての夢憧れです。そして思いました。「これなら私にもやれるかも」と。
　ご縁があり、２０２０年１月末より上場へ向けてスタートを切りました。最初に私の頭に浮かんだことは上場した後の祝賀会のシーンです。会場は◎〇で、来賓に誰を呼んで、何人呼んで、誰に祝辞を述べてもらってと２年近く前から想像していました。始まった時から私はゴール後のことを考えていたのです。
　上場が出来るだろうかとか、ムリかなとかそういった後ろ向きな類のことは一切考えません。成就することありきです。その先のことを考えます。
　そこに至るまでは何回も何十回もこれで良いのか、間違っていないか、やれるのか、やれる、やらなければならない、よしやる」といったことを反芻します。自問自答します。いよいよ腹が決まったら細かいことを置いておいてスタートを切るのです。走りながら考えるのです。誰もやってくれなければ、自分がやればいいという気持ちです。自分を信じてです。
　今ゴール後が近づいてきました。ゴール後の段取りをしている最中です。ゴールは次へのスタートラインです。上場もこの先やっていくこともサトウ産業がこの世に存続していくための必須事項です。少なくともあと１０年。心身ともに健康でありたいと願っています。
　今日までの１０年を復活、再興、成長、新生の１０年としたら、次の１０年は可能性、繋ぐ、託す、飛躍のための１０年と思っています。

今こそ言います。１０月１４日からサトウ産業は上場企業になります。

『上場企業は社会の公器。君たちは上場企業の社員である。昨日までとは違うのだ。』

一人一人が自覚することで新たな道が開かれていくものと信じます。
みなさん、おめでとう。